アルコールの分解時間

お酒は、時間をかけて体の中で分解される

お酒を飲むと、含まれているアルコールは胃や小腸から吸収されて血液にのり、主に肝臓で少しずつ分解されていきます。 分解には時間がかかるため、飲み終わってからしばらくの間、アルコールは体の中に残り続けます。

「どのくらいの量を飲むと、どのくらいで抜けるのか」を知っておくと、飲む量やペースを考える手がかりになります。 ただし、ここで紹介する計算は平均的な目安にすぎません。 実際の分解の速さは人によって、またその日の体調によって大きく変わります。

最初に知っておいてほしいこと

  • 少量であっても、お酒を飲んだら運転しない。自動車・バイクだけでなく、自転車も同じです。
  • 分解の速さは個人差や体調によって大きく異なります。体重・性別・年齢・体質(お酒に強い・弱い)、睡眠不足や疲れ、空腹、服薬などで変わります。
  • このページの目安の時間は、運転してよいかどうかの判断には絶対に使えません。「何時間たったから大丈夫」という考え方はしないでください。

アルコールが分解されるしくみ

飲んだアルコールは、胃にある間はゆっくり、小腸に入ると速やかに吸収されます。 そのため、何も食べずに飲んだり、度数の高いお酒を一気に飲んだりすると、血液中のアルコール濃度が上がりやすくなります。 吸収されたアルコールは体内の水分のあるところに広がり、主に肝臓で分解されます。

分解は、おおまかに次のような順番で進みます。

  • アルコール → アセトアルデヒド:主に肝臓で、アルコールを分解する酵素のはたらきによって変化します。
  • アセトアルデヒド → 酢酸:アセトアルデヒドを分解する酵素のはたらきで、酢酸になります。
  • 酢酸 → 水と二酸化炭素(炭酸ガス):酢酸は筋肉などに運ばれてさらに分解され、最終的に水と二酸化炭素になります。

途中でできるアセトアルデヒドは体にとって有害な物質で、顔が赤くなる、動悸がする、吐き気や頭痛がする、といった反応(フラッシング反応)の原因になります。 これらの酵素のはたらきの強さには、生まれつきの差(体質)があります。 日本人には、アセトアルデヒドを分解する酵素のはたらきが弱い人が多く、フラッシング反応を起こす人は4割程度いるとされています。 また、アルコールを分解する酵素のはたらきが遅いタイプの人もいて、多く飲んだ翌日まで長くアルコールが残りやすいことが知られています。

まずは「純アルコール量」を知る

体への影響を考えるときに大切なのは、飲んだお酒の量(ml)そのものではなく、その中に含まれる純アルコール量(g)です。 純アルコール量は、次の式で計算できます。

純アルコール量(g)= 飲んだ量(ml)× アルコール度数(%)÷ 100 × 0.8(アルコールの比重)

代表的なお酒で計算すると、次のようになります(度数や量は一般的な例です)。

  • 日本酒 1合(180ml・15%):180 × 15 ÷ 100 × 0.8 = 21.6g
  • ビール 中びん/500ml缶(5%):500 × 5 ÷ 100 × 0.8 = 20g
  • ビール 350ml缶(5%):350 × 5 ÷ 100 × 0.8 = 14g
  • ワイン グラス1杯(120ml・12%):120 × 12 ÷ 100 × 0.8 = 約11.5g
  • チューハイ 350ml缶(7%):350 × 7 ÷ 100 × 0.8 = 19.6g
  • ウイスキー ダブル1杯(60ml・40%):60 × 40 ÷ 100 × 0.8 = 19.2g

日本酒1合、ビール500ml、チューハイ350ml缶(7%)は、どれも純アルコール量にすると20g前後で、ほぼ同じくらいです。 「ビールだから軽い」「缶1本だけだから少ない」とは限らないことがわかります。 飲むお酒の度数と量を、ラベルで確かめる習慣をつけておくと安心です。

分解にかかる時間の目安

厚生労働省の情報サイト(e-ヘルスネット)では、一般的に1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」とされています。 体重60kgの人なら1時間に約6g、50kgの人なら約5gという計算です。 ただし同じページでは、酵素の体質や飲酒の習慣などによって代謝の速さは大きく異なり、これより低い(分解が遅い)ケースも多いことが説明されています。

この目安で、先ほどのお酒が分解されるまでの時間を計算すると、次のようになります。

  • 日本酒 1合(21.6g):体重60kgで約3時間36分、50kgで約4時間19分
  • ビール 500ml(20g):体重60kgで約3時間20分、50kgで約4時間
  • ビール 350ml(14g):体重60kgで約2時間20分、50kgで約2時間48分
  • ワイン グラス1杯(約11.5g):体重60kgで約1時間55分、50kgで約2時間18分
  • チューハイ 350ml・7%(19.6g):体重60kgで約3時間16分、50kgで約3時間55分
  • ウイスキー ダブル1杯(19.2g):体重60kgで約3時間12分、50kgで約3時間50分

たとえば体重60kgの人が日本酒を2合(43.2g)飲むと、目安でも約7.2時間、3合(64.8g)なら約10.8時間かかる計算です。 夜11時まで3合飲んだとすると、目安の上でも翌朝9時台まで分解が終わらないことになります。

体重60kgの人が日本酒(15%)を飲んだ場合の分解時間の目安 0 3 6 9 12時間 1合 21.6g 約3.6時間 2合 43.2g 約7.2時間 3合 64.8g 約10.8時間 1時間あたり約6g(体重×0.1g)で計算した平均的な目安。実際はもっと長くかかることがあります。
日本酒の量と分解時間の目安(体重60kg・1時間に約6gで計算)。目安の時間が過ぎても運転してよいことにはなりません。
  • これはあくまで平均的な目安です。体質や体調によっては、実際にはこれよりずっと長くかかることがあります。
  • 目安の時間が過ぎても、運転してよいことにはなりません。計算上は分解が終わっていても、体にアルコールが残っていることがあります。お酒を飲んだ日は運転しないでください。

サイト内のアルコール計算のページでも、純アルコール量と分解時間の目安を計算できます。 こちらも同じく目安であり、運転してよいかどうかの判断には使えません。

アプリ「お酒記録」で分解時間の目安をかんたんに確認

アプリ「お酒記録」のアイコン お酒記録 - 飲んだお酒を記録/共有 Androidアプリ(Google Play)

このサイトの運営者が開発しているAndroidアプリ「お酒記録」には、アルコール計算の機能があります。 飲んだお酒を入力すると、純アルコール量と、体重に応じたおおよその分解時間の目安を手軽に確認できます。 飲んだお酒を写真や評価と一緒に記録しておけるので、自分がどれくらい飲んでいるかを振り返るのにも役立ちます。

アプリで計算される時間も、あくまで目安です。 「計算上はもう抜けている時間」になっても、運転してよいことにはなりません。お酒を飲んだ日は運転しないでください。

Google Play で「お酒記録」を入手する

分解の速さを左右するもの ― 個人差と体調

同じ量を飲んでも、血液中のアルコール濃度や分解にかかる時間は人によって大きく違います。主な要因は次のとおりです。

  • 体重・体格:体が小さいほど、同じ量でも血液中の濃度が高くなりやすく、1時間に分解できる量の目安も少なくなります。
  • 性別:女性は一般に男性より体内の水分量が少なく、分解できるアルコールの量も少ないことなどから、アルコールの影響を受けやすいとされています。
  • 年齢:高齢になると体内の水分量が減るなどして、同じ量でも酔いやすくなります。
  • 体質:分解する酵素のはたらきの強さは生まれつき人によって大きく異なります。少量で顔が赤くなる人や、もともとお酒を受けつけない体質の人もいます。
  • 飲み方・空腹:空腹のときや、度数の高いお酒をストレートで飲むときは、血液中の濃度が高くなりやすくなります。
  • その日の体調:アルコールの影響は、そのときの体調によっても変わります。睡眠不足や疲れがあるとき、体調がすぐれないときは、いつもと同じ感覚で飲まないようにしましょう。
  • 服薬:薬を飲んだあとにお酒を飲むと、薬の効果が弱まったり副作用が出たりすることがあります。服薬中や治療中の飲酒については、主治医に相談してください。

よく聞く「早く抜く方法」にも注意が必要です。水をたくさん飲む、汗をかくといった方法でアルコールが速く抜けると思われがちですが、 呼気や汗、尿から出ていくアルコールはごくわずかで、分解のほとんどは肝臓で行われます。 飲酒中や飲酒後にお風呂やサウナで汗をかこうとするのは、血圧の変動などで体に負担がかかるため、かえって避けるべき行動とされています。

また、「少し寝たから大丈夫」と考えるのも危険です。夜遅くまで飲んだ場合は、翌朝も体にアルコールが残っている可能性があります。 実際に、「少し寝たので大丈夫だと思った」「出勤のため二日酔いで運転してしまった」という理由での飲酒運転が起きています。

「自分はお酒に強いから大丈夫」という考えも当てになりません。 飲み続けているうちにお酒に強くなったように感じるのは、主に脳がアルコールに慣れて効きにくくなるためとされ、分解そのものが大きく速くなったとは限りません。 お酒に強いと言われる人でも、低い濃度のアルコールで運転操作などに影響が出ることがわかっています。

飲んだら運転しない ― 少量でも、自転車でも

アルコールは、ごく少ない量でも運転に必要な力に影響します。 集中力や注意力、反応の速さなどは、法律で取り締まられる基準より低い濃度のうちから低下し始めることがわかっています。 少量であっても、お酒を飲んだら自動車・バイク・自転車を運転してはいけません。 警察庁によると、飲酒運転の死亡事故率は、飲酒していない場合の約6.9倍(令和7年中)と非常に高くなっています。

警察庁のWebサイトでは、飲酒運転の罰則が次のように示されています(運転した人の場合)。

  • 酒気帯び運転:呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg以上。3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。
    0.15mg未満であっても、お酒を飲んで車両等を運転すること自体が法律で禁止されています。
  • 酒酔い運転:呼気1リットル中のアルコール濃度0.5mg以上、またはアルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態。5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。

酒酔い運転の数値の基準(0.5mg)は、令和8年7月21日施行の道路交通法の改正で設けられたものです。 警察庁は目安として、体重60kgの人が日本酒2合(360ml)やビール大びん2本ほどを飲んで30分たつと、この基準に達する可能性があるとしています(分解能力には個人差があります)。 さらに、運転免許の停止や取消しといった行政処分もあります。

罰せられるのは運転した本人だけではありません。

  • 車両等を提供した人:運転者と同じ重さの罰則(運転者が酒酔い運転なら5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、酒気帯び運転なら3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)。
  • お酒を提供した人・同乗した人:運転者が酒酔い運転なら3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、酒気帯び運転なら2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。

自転車の飲酒運転も禁止されています。自転車の酒酔い運転・酒気帯び運転は、反則金で済む違反ではなく、刑事手続(いわゆる「赤切符」)の対象です。

翌日の運転にも注意してください。夜遅くまで飲んだ場合、翌朝もアルコールが体に残っていることがあります。 翌日に運転する予定があるときは、それを考えて飲む時間と量を控えめにし、少しでも不安があれば運転しないでください。 罰則などの内容は法改正で変わることがあるため、最新の情報は警察庁の公式ページで確認してください。

アルコールチェッカーという選択肢

アルコールチェッカー(アルコール検知器)は、息を吹きかけると、吐いた息に含まれるアルコールの濃度を測る機器です。 家庭用の小型のものも市販されていて、飲んだ翌朝などに「体にアルコールが残っていないか」を確かめる目安として使えます。

搭載されているセンサーには、大きく分けて次の2種類があります(メーカーの解説にもとづく)。

  • 半導体式:アルコールがつくと電気の流れやすさが変わるセンサーで濃度を測ります。比較的安価で、家庭用の多くがこのタイプです。センサーは汚れやすく、劣化したら買い替えが必要とされます。
  • 燃料電池式(電気化学式):アルコールを燃料にして発電するセンサーで、発電した電気の量から濃度を測ります。主に業務用とされ、精度を保つための定期的なメンテナンスが前提になっています。

使うときは、測り方にも注意が必要です。ジュースやパンなど、アルコールを含む飲食物が口の中に残っていると、お酒を飲んでいなくても反応することがあります。 飲食の直後は避け、水でうがいをしてから測るようにしましょう。手指消毒用のアルコールにも反応することがあります。 選ぶときは、センサーの種類に加えて、業界団体(アルコール検知器協議会)の認定を受けた製品かどうかも参考になります。

なお、仕事で車を使う事業所では、安全運転管理者が運転前後の運転者に対してアルコール検知器を使って酒気帯びの有無を確認することが、令和5年12月1日から義務付けられています。

アルコールチェッカーの数値は「目安」です

  • 市販のアルコールチェッカーの数値は目安であり、法律上の判定とは違います。
  • 「数値が出なかったから運転してよい」ということにはなりません。体調や測り方によって、正しく測れないこともあります。
  • お酒を飲んだら運転しない。チェッカーは、それを守るための補助として使いましょう。

アルコールチェッカーを探す

アルコールチェッカー

家庭用(半導体式が中心)から業務用(燃料電池式)まで

飲んだ翌朝の確認の目安に使える、息を吹きかけて測るタイプの機器です。センサーの種類や、アルコール検知器協議会の認定の有無を確かめて選ぶと安心です。表示される数値は目安で、運転してよいかどうかの判断には使えません。

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上手なお酒との付き合い方

厚生労働省は2024年2月に「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。 飲酒による影響には個人差があり、そのときの体調によっても変わることを前提に、純アルコール量に注目して自分に合った飲み方を決めることがすすめられています。 ガイドラインで紹介されている、健康に配慮した飲み方の例は次のとおりです。

  • 自分の飲酒の状況を知る:どのくらい飲んでいるかを把握し、必要に応じて医師などに相談する。
  • あらかじめ飲む量を決める:行事やイベントの場でも、何をどれくらい飲むかを自分で決めておく。
  • 飲む前や飲みながら食事をとる:血液中のアルコール濃度が上がりにくくなります。
  • 合間に水(和らぎ水・チェイサー)や炭酸水を飲む:割って度数を下げる、少しずつ飲むなど、ゆっくり飲む工夫をする。
  • 1週間のうちに飲まない日をつくる:毎日飲み続けることを避ける。

ガイドラインでは、1回の飲酒で純アルコール60g以上を飲む「一時多量飲酒」は避けるべきとされています。日本酒なら3合弱にあたる量です。 また、生活習慣病のリスクを高める量として、1日あたりの純アルコール量で男性40g以上、女性20g以上という目安が示されています(これは「ここまでなら飲んでよい量」という意味ではありません)。

20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳中の人や、体質的にお酒を受けつけない人も、飲酒を避ける必要があります。 体調や飲酒について不安がある場合は、医師に相談してください。

まとめ

アルコールは主に肝臓で、時間をかけて分解されます。 純アルコール量を計算し、「体重×0.1g程度」という目安で分解時間を見積もると、日本酒1合でも体重60kgの人で3時間半以上かかる計算になります。 ただし、これはあくまで平均的な目安です。体重や性別、年齢、体質、その日の体調によって、実際の時間は大きく変わります。

計算やアプリ、アルコールチェッカーは、自分の飲み方を見直すための手がかりとして上手に使いましょう。 そして何より、少量であっても、お酒を飲んだら運転しないこと。 体の声に耳を傾けながら、無理のないペースでお酒を楽しんでください。

参考

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